夏の健康生活
「夏の健康生活」
夏は、さっぱりと汗をかくことが大事です。夏の間は、正常に汗をかける状態であれば、あまり体調を崩すことはありません。熱中症なども、うまく汗が出ない体だと起こりやすいのです。
一日中冷房の効いた部屋にいて、寝るときも冷房の中で寝ているような生活で、汗をかかずにいると、だんだん体がこわばってきて体調がすぐれなくなります。
仕事などで一日中冷房を使っているような人は、ウオーキングなどの運動や入浴などで上手に汗をかく必要があります。
「初夏から梅雨に汗をかいておく」
夏に必要なだけ汗をかけるためには、初夏から梅雨にかけて準備をしておく必要があります。最近はちょっと汗ばむ季節になると、どこでも冷房が入っていますが、本当は5月の連休あたりから汗をかくことを習慣づけておくのが理想的です。
初夏から梅雨の間に、十分汗をかける体にしておかないと、梅雨明けの夏本番の暑さに耐えられません。ひどい場合は熱中症になってしまったり、そこまでいかなくても、夏バテしやすく、いわゆる暑気あたりにもなりやすいのです。
皮膚からの発汗には、もちろん体温調節の働きがありますが、もう一つ排泄という重要な役割があります。排泄は、大小便や呼吸の呼気からもおこなわれていますが、皮膚には皮膚にしかできない排泄があり、発汗もその一翼をを担っています。
冬から春にかけてのあまり汗が出ない季節に、体の中にため込んだ老廃物や毒素があります。初夏になって汗が出始めると、それらの捨てるべきものが汗とともに排泄されていきます。その時期の汗がにおうのは、たまっていたものが急に排泄されるからです。
それでも汗をかき続けていると、だんだんにおいは少なくなっていきます。
初夏から梅雨は汗で老廃物などを排泄しますが、夏になると汗の主体は体温調節のためのサラサラした汗になります。もちろん夏でも汗を通しての排泄がおこなわれていますが、夏になると今度は皮膚そのものからの排泄が盛んになります。
夏になると皮膚が過敏になり、排泄が盛んになります。夏になって出る汗疹(あせも)や湿疹は、皮膚からの直接的な排泄です。
昨今は、汗をかくことを恥ずかしがったり、嫌がったりする風潮がありますが、汗をかくことはとても重要な体の働きです。汗のかけない体は、夏バテしやすいばかりでなく、熱中症のリスクが高まります。
また、初夏から夏の間にしっかり汗をかいて排泄しておかないと、年々老廃物や毒素をため込むことになります。特に夏の前半、お盆前くらいまでは、よく汗をかく必要があります。この時期までに汗をかいておかないと、排泄が十分におこなわれず、秋になってからも体が重くなってしまいます。
夏は汗をかくことが体を保つことであり、更に四季に合わせて適応し続ける体の変化を滞らせないためにも大切なことです。これからの時代は、「夏は汗をかくべき季節」 であるということを再認識して、汗をかくことを厭わずに生活していくことが、健康を保つ上で重要になっていくことと思われます。
「冷房は上手に使う」
人間の体は、四季の変化に対応して、それぞれの季節に合わせて体を変化させています。夏になると、汗腺が開いて汗が出やすくなり、体も弛んで放熱しやすくなります。しかし、「暑い」 ということに適応するよう特化した夏の体は、本来冷房の冷たい風には弱いのです。
とはいっても、年々夏の暑さは厳しくなり、都市部では蓄熱するコンクリートとアスファルトに囲まれて「体の自然」が適応できる暑さを超えてしまっています。また、住宅も冷房を使うことを前提に作られています。
こうした現実を鑑みるに、現代では冷房なしの生活はとても考えられないでしょう。
しかし、人工のものに囲まれていると忘れがちですが、いくら物質文明が進化しても、人間の体はあくまでも自然の産物です。夏は暑いのが普通です。体はやはり、暑い方に合わせてメタモルフォーゼ(変態・変身)します。暑さに強くなる分、冷房には弱くなります。残念ながら、未だ人間は冷房に適応するようには進化していないようです。
冷房を使わなければ暑さにやられてしまいますが、使ったら使ったで体は冷えの影響を受け体調を崩しやすくなります。また、冷房に入りっぱなしだと、汗が出ない体になってしまいます。何とも困ったことですが、仕方がないので、冷房は設定温度などに気を配って上手に使うしかありません。
また、昼間活動しているときには、大丈夫な設定温度でも、寝ているときには冷えすぎることがあります。眠っているときは、体温も下がりますし、血流も穏やかなので、起きているときよりも冷えに弱いのです。
できれば、隣の部屋で冷房をつけてドアを開けて寝るとか、ちょっと贅沢ですが、窓を少し開けて冷房を使うなどの工夫があるといいのですが、住宅事情や防犯の面から難しい場合もあるかもしれません。そういう場合は、やはり設定温度を少し高くして、それでも冷える人は多少厚めの布団を用意する、厚手の寝間着を着るなどの対策が必要でしょう。
本当は、寝るときには冷房は使わずにすめばそれが一番いいと思います。ちなみに私は、真夏でも寝るときは冷房は使いません。幸い、窓を開け放って寝ても防犯上問題ない状況なので、家中の開けられる限りの窓を開け、風に直接当たらないように寝ている部屋の窓は少しだけ開けて寝ています。
汗をびっしょりかいたりしますが、冷房の中で寝るよりも体は軽く快適です。
しかし準備もなしに、それなら私もやってみよう、と急に冷房を切って寝ると、かえって具合が悪くなることもありますから注意が必要です。
真夏に冷房なしで寝るには、それこそ初夏、梅雨から汗をかく習慣を持ち、暑ければ汗が出て体温調節ができる体を作っておかなければなりません。チャレンジするのならば、来年の夏まで待って、夏前から運動や足湯、入浴などで汗をかけるように体をならしておくことをお勧めします。
「水の飲み過ぎは夏バテの元」
熱中症対策として水分補給が大事であることは多くの方の知るところでしょうが、過ぎたるは及ばざるが如しで、水分の摂り過ぎも体にとって負担になります。
夏に気をつけたいことの一つに、冷たいものの摂りすぎがあります。冷やした水や麦茶、ジュースなど、またかき氷やアイスクリームなど・・・。
お腹が冷えると、体力がガクンと落ちます。ま多お腹が冷えて力が抜けると腰の力も抜けてしまうため、冷房による冷えと相まって腰痛も起こりやすくなります。
しかし、常温の飲み物なら大丈夫かというと、これも飲み過ぎると胃腸が疲れて体力が落ちてしまい、夏バテの原因になります。また、あまりに大量の水分を摂ると腎臓にも負担がかかるので、より体がだるくなったり、重くなったりしてしまいます。浮腫んで、目の下がぽっこり膨らんでしまったりすることもあります。
運動などでたくさん汗をかいたりする場合は、それなりの水分補給は必要ですが、がぶ飲みはかえってよくありません。そういうときには、ちょっと甘みを加えたものを摂るのもお勧めです。特にお勧めなのは、ハチミツを溶いたものにレモンを加えたものです。いわゆるハチミツレモンですね。体の疲労も抜けますし、体が欲していたものを補給するからなのか、それ以上余分に水が欲しくなくなります。(いわゆるスポーツドリンクは、多くが糖分過剰なのであまりお勧めしません)
また、汗をかくと水分とともに塩分(ナトリウム)も失われます。水分を摂ると同時に、塩分も摂る必要があります。
汗をたくさんかいたときに、水分を補給しようとたくさんの水を飲むと、体の中のナトリウム濃度がどんどん下がってしまいます。
血液、体液中の塩分濃度が下がると、疲労感や悪心に襲われたり、筋肉がけいれんしたり、ひどい場合には意識障害を起こすこともあります。
夏の暑いときに、頭がボーっとしたり、だるくなったり、急に体の力が抜けるようなときは、塩分が不足していることが考えられます。そういうときは、梅干しを食べてもいいですし、直接塩をなめてもかまいません。
体に塩分が足りないときは、塩をなめても甘く感じます。そのまま少しずつなめていくと、急に塩辛く感じるようになります。塩辛く感じたら、塩気が足りたということなので、塩の補給はそこで終わりにします。
「夏は熱い飲みものが体に合う」
夏の水分補給は、冷たい飲み物や生水よりも、お茶などの温かい飲み物が適しています。夏の熱い飲み物は、体を養い暑さに強い体を作ります。
麦茶も冷やして飲むより熱いものを飲むのがよいのです。それ以外にも、ハーブティー、日本茶、紅茶など・・・。もちろん白湯でもいいですし、疲れているときはお湯にハチミツをといてレモンを垂らし、ホットレモンなどもいいでしょう。
それから、汗で失われた塩分を補給するのには、「梅干し」はおすすめです。薄茶、もしくは渋みやえぐみが少ない番茶と梅干しの組み合わせなどは、とてもいいと思います。
暑くてのどが渇いたときは、水などをガブガブ飲んでも、なかなか乾きが癒えません。満足するまで飲むと、どうしても飲み過ぎになってしまいます。
そんなときは、熱い飲み物を飲むと、不思議とそれほど多くない量で渇きを癒やすことができます。
「夏の入浴」
夏でも、冷房を効かせている環境で生活している場合は、シャワーだけではなくバスタブにお湯を張って浸かることを強くお勧めします。
冷房で冷えて縮んで固まった体を、お湯に浸かって温めてゆるめます。そのためには、夏でもある程度のお湯の温度が必要になります。
そもそも夏は暑い上に、浴室はより高温・多湿になりますので、冬と同じ入浴温度では熱すぎますが、それなりの温度はあった方が冷房の冷えを解消する効果があります。
熱々でなくてよいのですが、いつまでも入っていられるような温度ではぬるすぎます。何分か入っていたら、熱くて出たくなるような温度がちょうどよい温度です。
入浴時間は、短くてかまいません。カラスの行水的な入り方で十分です。
もし、一日中冷房の効いた部屋にいて体が冷え切っている場合には、まずバスタブに腰掛けるか浴槽の中に立つかして足だけを温めます。
ついで、鳩尾(みぞおち)あたりまで浸かります。このときは、手や腕はお湯から出しておきます。
ある程度温まったら、最後に肩、もしくは頚まで浸かって、温まり切る寸前にお湯から出ます。
冷房が効きすぎていたりして、体が冷えてしまっている場合、普通に湯に浸かっただけでは冷えの影響がうまく抜けないことがあります。かといって、夏はあまり長くお湯に浸かっていると逆上せてしまいます。そのため体の冷えが抜けるまで温まるのが難しいのですが、このように三段階に分けて温まることで、逆上せることなく冷えきった体をしっかりと温めることができます。
ちなみに、初夏以降、夏に向けて汗をかける体作りのためには、入浴で汗をかくのも有効です。ただし、入浴中に汗をかこうとするのではなく、風呂上がりに汗をかくようにするのです。
熱めのお湯で入浴すると、風呂を上がってから汗が出てきます。その時に、冷房の効いた部屋で涼んだり扇風機の風に当たったりすると、せっかく出た汗が止まって引っ込んでしまいます。これでは、汗が内攻し、かえって体によくありません。入浴後は、タオルでよく拭いたり、Tシャツを着替えたりしながら、自然と汗が引くまで待つようにします。
入浴で上手く汗が出ない人は、足湯・脚湯をすると出るようになります。
「熱中症」
夏に起こりやすい体の変動に、日射病・熱中症があります。具合いが悪いが自力で動ける程度のときにはまずは鳩尾(みぞおち)を押さえます。急に体の具合が悪くなったときは、いつでも鳩尾が硬くなりますが、熱中症のときも、やはり鳩尾が硬くなっています。
左右の親指をのぞく4本指を鳩尾に当て、少し押し込むようにして押さえます。はじめは硬くて押すと痛みがありますが、じーっと押さえていると、だんだん硬さがゆるんできます。ゆるんできたら、その分だけさらに押さえていって左右に少し揺すぶります。
鳩尾をゆるめて少し気分が楽になったら、頭頂部を冷やします。冷やす場所は、髪の生え際から少し上にいったところ。大泉門といって、赤ちゃんのときにぺこぺこと柔らかかったところです。ひよめき、などとも呼ばれるところです。ここに、タオルでくるんだ氷を当てます。
同時に、水分と塩分を少しずつ補給します。経口補水液などでもOKです。
(体を冷やすことが良いという場合は少ないのですが、熱中症とやけどのときだけは冷やします。ちなみに、やけどのときは、流水で十分に〈10分以上〉冷やします)
上記は軽度の熱中症の場合です。症状が重い場合や水分を摂っても吐いてしまうような場合は、医療機関を受診する方が無難です。また、意識が無いような場合には、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。
「夏はとにかく・・・」
夏は、とにかく汗をしっかりかけていれば、おおむね健康で過ごせます。ただ、その汗を冷房で冷やさないように気をつけなければいけません。
また、発汗で体の中の「水分」と「塩分」が出ていってしまいますから、これらを上手に補うことが大切です。
そして、夏も8月の末ぐらいになると、今度は秋の注意が必要になります。つまり、寝冷えに気をつけなければいけません。明け方に足が冷えて、腎臓に影響が出るようになるのです。
秋 ~ 真冬より冷える時期 →