整体操法整体委員会.4
整体操法の中には、いろいろな手技療法の技術が流入しているのですが、手技療法以外にも武道の活法の技術なども入っています。
整体操法の中で腹部活点 ・上頚活点など、今も活点と呼ばれているところの多くは、元々武道の活法において、「活」を入れて 「活かす」急所です。
呼吸はあるが意識がないという状態の人は、上頚というところ(第2頚椎の三側)を押さえると気がつきますが、これは「脳活帰神法」といって、元々武士の嗜みの一つだったといわれています。おぼれて溺死しかけた人を救う救急操法なども、まさに活法です。
また、武道の活法以外にも、鍼灸 ・漢方医学や民間に伝わるさまざまな治療法の技術も整体操法の中に流れ込んできています。そして、治療法に限らず、呼吸法、気合術、昔からのお産の知恵などもそうです。
もちろん、西洋医学を支えている解剖学 ・生理学 ・病理学の知識なども、整体操法と無関係ではありません。
食中毒のときには、足の第2指を折り曲げてその指裏がつくところ、つまり足裏の第2指の付け根あたりを押さえます。上手に押さえて愉気すると、みるみるうちに気分の悪さがおさまります。
足の裏のこの場所は、鍼灸の世界で「裏内庭(うらないてい)」と呼んでいるツボで、本来は食中毒のときには「お灸」をする急所なのです。中毒しているときは、大抵この部分は鈍くなっていてお灸をしても熱くないのです。そのお灸が熱く感じるようになるまで、何度も何度も繰り返しお灸をしていく。そして、「熱い」と感じたときには、吐き気や気分の悪さも治っています。
整体的に見ると、 足の第2指は肝臓の働き(解毒)と関係しています。食中毒のときには、食べた悪いものを速やかに排泄するように促すことも大切ですが、「裏内庭」を押さえると解毒が進み、とりあえず気分は良くなります。また、嘔吐 ・下痢をくり返して、出すものもないのにそれが止まらなくなっているようなときも有効です。
めずらしいところでは、耳をつまんで目の治療をするというのもあります。整体操法が制定された頃、耳殻をつまんで眼病を治す有名な(知る人ぞ知る?)女性がいたそうです。特に白内障・緑内障を治すということで評判をとっていたといいます。
この耳殻をつまむという方法も、整体操法に取り入れられています。白内障や目の疲れなどにも使いますが、寝不足になると耳殻が硬くなることから、寝不足による体の不調を改善したいときにも耳をつまみます。
目が疲れていたり、寝不足のときには、つままれると結構痛いのです。整体操法で「痛くするほど良い」ということはあまりないのですが、この耳殻だけは痛くないと効果が上がりません。もちろん、力ずくでやればどうやっても痛いですが、後まで痛いようではつまみ方がよろしくないということです。「痛たたっ!」っと感じても、後は痛くないというのが上手な痛みの作り方。
しかし、件の元祖は二枚の硬貨で耳殻をはさんで内出血するぐらい刺激したといいますから、あまりお上品でもよくないのかもしれません。