野口整体 白山治療院
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初夏から梅雨 ~ 汗の内攻 ~

 

汗の内攻

4月も後半になると、少し汗ばむ陽気になってきます。そうすると、急に体調をくずす人が増えだします。これは、汗をかいて、それを急に冷やしたためです。
初夏から梅雨にかけて、健康を左右する一番大きな問題は、「汗の内攻」です。汗をかいて、それを急に冷やして引っ込めることは、意外なほど体に悪影響をあたえます。野口整体では、このことを「汗の内攻」といいます。自分でかいた汗が、自分の内を攻めるという意味です。汗をかいて、それを冷やすことは、ただ冷えるのよりも体にずっと大きな影響があります。
 
汗をかいて、冷たい風に当たると、汗が内攻します。汗を冷やすくらいは、大したことではないと思っている方は多いと思います。しかし、急激な汗の内攻は、心悸亢進や血圧の変動など、急性病に似た激しい体の変動を起こすことがあります。
また、頚の汗などが急に内攻すると、脳溢血を起こしたりすることもあります。
 
汗の内攻は、いろいろな症状を引き起こします。全身症状としては、体が重い、だるい、むくむ、筋肉が痛む、妙に眠くなるなど。そして、頭痛、眼の奥が痛む、鼻水が出てのどに落ちる、急な下痢、ガスがたまってお腹が痛いなどです。また、急に視力が低下したりすることもあります。
 
汗が内攻した体は、第5胸椎が飛び出してきます。脊椎の中で、背中の部分を胸椎といいます。背骨は一本の長い骨ではなく、椎骨という骨が連結してできています。頚は頚椎、腰は腰椎といいます。第5胸椎は、頚の下から数えて5つ目の骨です。
汗が内攻すると、まず第5胸椎が硬直して飛び出してきます。第5胸椎は、発汗の中枢があります。汗が内攻しているとポコッと出っ張っていますから、さわるとすぐにわかります。この段階では、第5胸椎をこすったり、軽く叩いたりして刺激して、愉気をしておけば、引っ込んだ汗が出てきて体調も良くなります。
 
汗の内攻がもう少し進むと、その上の第3胸椎と第4胸椎がくっついてきます。この、第3・第4のくっつきは、汗の内攻の影響が、呼吸器(気管支・肺など)にまで及んでいるということを示しています。
さらに進むと、第10胸椎まで飛び出してきます。これは、汗の内攻の影響が泌尿器(腎臓など)にまで及んでいるということです。そして、のどが腫れて痛くなります。
第3・4胸椎(呼吸器)、第10胸椎(泌尿器)まで影響が及んでしまうと、引っ込んだ汗を出しただけでは体調は良くなりません。いったん発熱したり、風邪のような症状を出して、それを通り越さないと、汗の内攻の影響が体から抜けなくなっています。
 
 

汗の内攻の処理

汗を引っ込めたために体調が悪くなったときは、もう一度汗をかくのが一番です。ただし、入浴などで温めて汗を出しただけでは、内攻の影響はなかなか解消しません。内攻した汗を出すには、第5胸椎をこすったり、たたいたりして刺激します。その後に手を当てて愉気をします。自分の場合は、ちょっと手がとどきませんので、誰かに手を当ててもらいます。そうして、第5胸椎がゆるんでくると、引っ込んだ汗が出てきて、内攻の影響がなくなります。
 
または、頭と頚の境目にある「頚上(けいじょう)」というところを温めても、内攻した汗が出てきます。頚上は、「ぼんの窪」とも呼ばれるところです。頚上は、蒸しタオルを小さくたたんで当て、8分から10分ほど温めます。
 
内攻したときに出る汗は、ベタベタした汗です。さわるとベタついています。これが、第5胸椎に愉気したり、頚上を温めたりすると、だんだんサラッとした汗に変わってきます。こうなれば、もう内攻の影響は抜けたと見てよいのです。
 
 
【第5胸椎の愉気】
 
第5胸椎は、頚の一番下の骨、下を向くと一番飛び出す骨ですが、その下から数えて5番目の骨です。左右の肩甲骨間の真ん中か少し下ぐらいのところです。正確に数えられなくても、汗が内攻しているときは、だいたいポコッと出っぱっていて、触ると圧痛がありますから、すぐにわかります。
その骨に、指を三本そろえて当てます。中指を骨の上に当て、人差し指と薬指で骨をはさむようにして、上下に1分ぐらいこすります。そうしてから、今度は第5胸椎を中心に手の平を当てて愉気をします。
 
【頚上の蒸しタオル】
 
後頭部の真ん中を下に降りていくと、ポコッと骨が出っぱったところがあります。そのすぐ下にある、頚との境目の狭いくぼみが頚上です。そこに、蒸しタオルを当てて、8分から10分ほど温めます。タオルは小さくたたんで、頚上付近にだけ当たるようにします。
 
 

汗をかけない人

汗が内攻していなくても、いつでも第5胸椎・第10胸椎が硬く飛び出している人がいます。こういう人は、汗をかけない人です。汗をかけない人は、湿気や暑さに弱く、また、体の老廃物の排泄もうまくいきません。
汗の出にくい体質の人も、発汗の中枢である第5胸椎に愉気をしていると、だんだん汗をかけるようになります。
 
尿や便からは排泄できなくても、汗からは排泄できる毒素はたくさんあります。食品に含まれる化学物質や、いろいろな公害物質、または自分が体内で作り出してしまった毒素や老廃物も、汗からなら体外に出すことができます。
 
 

汗はかくこと、冷やさぬこと

汗をかくことは、健康を保つ上でとても大切なことです。発汗は、体温調節をおこなうとともに、体内の老廃物や毒素を排泄します。さらに、人間の体は発汗することで疲労が抜けるようになっています。汗をかくということは、とても大事なことなのです。汗をかく季節には、どんどん汗をかきましょう。
ただし、その汗を急に冷やして引っ込めないようにすることが大切です。
 
本来、汗の内攻に注意しなければならない時期は、初夏の体が汗ばみ始める時期と、秋になって、体はまだ汗ばむくらいなのに、朝夕の風が冷たくなる時期です。 
夏の間は、本来なら汗を引っ込めても、その後からまたすぐに汗をかくので、内攻しないものなのです。しかし、現代はエアコンの普及によって、真夏でも汗の内攻が頻繁に起こります。汗をびっしょりかいたまま、エアコンの効いた電車やお店などに入ると、汗が急激に冷やされて内攻します。
 
初夏から梅雨の間は、汗の内攻に注意して、汗をこまめにふき取るようにします。
夏は、エアコン対策が必要です。エアコンが効きすぎているようなところへいくときには、頚にスカーフを巻くなどの工夫をした方が良いでしょう。
また、風呂上がりに扇風機の風に当たることはいけません。下手をすると脳溢血を起こすこともあります。
 
汗をかく時期は、背中から風を受けると内攻しやすいので、なるべく風は前から受けるようにします。真冬になったら、今度は前からの風を注意します。冬は、前から冷たい風を受けると、心臓に影響があるのです。
 
 

梅雨と湿気

梅雨時は湿度が高いせいで、体が重く、だるくなりやすい時期です。これは、体が湿気に包まれると、呼吸器(気管支・肺など)と泌尿器(腎臓)が働きにくくなるからです。
空気の湿度が上がるってくると、呼吸器の働きが鈍って、体が重く息苦しくなります。そして同時に、気分も晴れなくなってきます。また、泌尿器の働きが悪くなると、体がだるくなります。
 
梅雨時は、体の重さだるさに負けず、どんどん動いていた方が体調は良くなります。
それから、なんとなく息苦しく、気分が晴れないようなときは、まずは大きく深呼吸をすることです。そして、大腿(ふともも)の裏の筋を伸ばします。大腿後面の筋肉は、呼吸器の働きと関係があります。立って前屈しても、足を投げ出して座って前屈運動をしてもかまいません。また、その筋を指で弾いて刺激しても効果があります。一番のお奨めは、大股で歩くことです。大股で歩いて大腿後面の筋肉を刺激すると、呼吸器が元気になり、気分も晴れやかになってきます。
 
体がだるいときは、正座をして後ろを振り返るようにして体を捻ります。そして、息を吐いて力を抜き急に戻す。これを左右3、4回交互におこないます。これは、泌尿器の働きを高める体操です。
 
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